『ケムリクサ』感想─完成度の高い、テーマに忠実な名作。
多分見終えた直後はまともな精神状態じゃないと思うので、事前に下書きだけしておきますね。未来の俺、頼んだぞ。
※ネタバレ注意!
ケムリクサ12話、100点!
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年3月27日
おおよそ考えられる限り最高の着地点に到達したな……。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年3月27日
いや……最高でした……。
あの『けものフレンズ』のたつき監督の新作、ということでいつか見ようと1話だけ見て先送りにしまくっていたのですが、11話が放送されてから世間の評価は一気に激変。
「たつきを信じろ」の再来を見ているかのような『ケムリクサ』ブームに見事僕も乗っかり、見事にハマりました。
正直に言うと、1話全く面白くなかったんですよ。これは『けものフレンズ』1話でも言えることですが、意味深描写というか意味ありすぎて1話時点だと視聴者が何もわからない。かばんちゃんやわかばという視聴者の代弁者が一応は配されているものの、正直謎が多すぎるのとストーリーが絶妙に進んでないので「もういいかな……」とか抜かしてたバカでした。
しかし、その後チラホラといい評判はツイッター越しに入ってきてはいたものの、やはり爆発したのは案の定と言うか、11話。
その衝撃的な展開を散々喧伝されながら、僕もいい加減思い腰を上げて見ることを決意しました。
そして感想ですが……いや……完成度素晴らしいですね……実のところまだ各話一周しかしてなく、全然解像度低い状態なのですが、振り返ってみても各話の情報開示タイミングが非常に上手でしたね。
視聴者が飽きづらいタイミングを絶妙に把握した各話の情報量やタイミング等々、流石の実力、といったところです。何様だという話ですが……。
序盤を例に出せば狭い世界(一島)から世界が一気に広がる(二島以降)タイミングでの死者がよく出る、という情報開示(3話)や、序盤の集大成となるボス戦のヌシとの戦いなど、ここら辺から段々と背筋が伸びてきました。
中盤でいえば死んだはずの姉妹、リクの登場と世界の謎が一気に明かされる(といってもまだまだ分からないことだらけ)の6話や、単純に高低差が凄まじい7話など、ここら辺からAmazonプライム・ビデオの再生ボタンを押す手が止まらなくなっていました。
終盤、つまりラスト4話に入ってからはもう夢中です。あれを止めろと言われても、僕には不可能でした。
特に各所が絶賛していた11話は、その内容、そして次回へのヒキを含めて確かに凄い回でした。単純な内容を取っても世界の謎がほぼ全て明かされるという点で評価点が高いですが、その描写の一つ一つが非常に丁寧なんですね。ここに関しては11話の感想でも述べましたが。
そして続く12話、これまでの展開を総括しながら、描いてきたテーマを改めて提示するという最終回のお手本のような内容を高い表現力(映像のクオリティは置いておいて)で実直に示してくれました。
やはり何度も言及したいこととしては、そのテーマに対する実直な表現です。
『ケムリクサ』はSF的な要素が多分に含まれ、かつヲタクたちによる冷奴をおそらく推奨している内容になっています。しかし、それでもなお描いているテーマだけははっきりと直截的な表現で示し、かつ何度も繰り返し提示するというど直球の物語を描いています。昨今の作品が冷奴をやりすぎて肝心の内容が消えるなんてこともざらにある中、これができるのは何気にすごいことです。やや凡庸な例えになりますが、近年では『カメラを止めるな!』がそれで高評価を得たりしていますね。
好きを探す、好きを好きでいることの肯定の物語である本作、僕は非常に好きです。たつき監督旋風、果たして止まることはあるんでしょうか。何はともあれ、監督にはのびのびと創作してほしいですね。
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