アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『ケムリクサ』第11話感想─計算され尽くした作劇、いろはのいに忠実であること。

Episode.7

いやー凄いですね『ケムリクサ』。正直当初はここまで化けるとは思ってませんでした。

たつき監督がKADOKAWAと色々あったのが2年ほど前。

そして『ケムリクサ』をテレビ放映用にリメイクすると発表されたのがその数ヶ月ですね。

正直ほんとうにここまでこうなるとは全く思ってませんでしたね。

ところで、以下から感想とオタク・ノーミーン・ロングセンテンス(オタク冷奴長文)が始まりますが、そんなんどうでもいいわ!という方はAmazonプライム・ビデオ独占配信の『ケムリクサ』を見てください。

 

Episode.11

Episode.11

 

 

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ケムリクサ』はジャンルで言えばSFアクションです。たつき監督の廃墟趣味が、Amazon資本を得て具現化されたものですが、ストーリーが非常に良くできています。

主人公たち以外いなくなった世界の謎を解き明かす……と言ったメインプロットは結構良くあるものですが、本作ではそこに小道具とキャラクターの性質の違いを混ぜることで飽きさせない更に構造を複雑にする工夫がなされています。

りん達姉妹とわかばの性質の違い、ケムリクサの謎、そして世界の謎の3つの軸があることにより視聴者は非常に頭を使いながらこのアニメを見ることになります。

尚、当然頭を使わなくてもいいように(?)、キャラクターもしっかりと作り込まれています。優れた作家はストーリーを描くのが上手いのではなく、人間を描くのが上手いのだ、なんていうのはよく言われることですが、本作もその例に漏れません。

キャラの行動指針に一切のブレがなく、かつちゃんとその性格がはっきりとわかりやすい、というのは何がすごいことです。これができてない作品は多くあります。某続編は見習ってほしいですね。僕は好きですが……。

 

さて、11話の話ですが、本作は散々示唆してきた世界の謎を全回収する回です。言ってしまえばただの説明回なのですが、テンポの良さで冗長さはありません。某ARC-Vは見習ってほしいですね。

ケムリクサとは、りん達姉妹とは、この世界とは、そしてわかばとは、と言った作品的な大体の謎が全て解き明かされることになりました。ちょっと整理の意味も込めて箇条書きで書いていきます。

  • ケムリクサとは→ワカバ達の種族が使用しているスマホ的な道具。色によって効果が違い、また色の組み合わせで効果を組み合わせで使うことができる(りりによって発見された?)
  • りん達姉妹とは→最初の人間、りりがケムリクサ化した存在。虹色のケムリクサによって分裂?
  • 最初の人間とは→地球からサルベージされた地球人のりり。本来生命体はサルベージされないはずだが、なぜかされた様子。
  • この世界とは→ケムリクサ星人(仮称)(おそらく)我々の住む地球をコピペしたどこか。データのみの全コピーでペーストはケムリクサを使って行っている。最終的にりりの作った赤いケムリクサによって廃墟になったものが現在まで継続している模様。
  • わかばとは→ケムリクサ星人(仮称)のワカバの記憶が消えた存在(多分)。赤いケムリクサの中に消えて行った後の経緯は不明。

といった程度でしょうか。赤霧がなんなのかとかは割と不明なんですよね。赤いケムリクサがケムリクサを無効化するケムリクサであることは確定なんですが、なぜわかばが溶けたりとかりんさん達が吸い込んでもある程度無事なのかとかはよくわからないままですね。酸性になったのでしょうか。

 

最初の人間ことりりちゃん、めちゃくちゃかわいいですね。僕が最推しなのはりくさんなんですが、それとは違う意味で良さがありました。

地球人ということで、ケムリクサ星人(仮)とはナチュラルに文化が違うということをしっかりと描いていたり(ここはわかばと姉妹の違いでもしっかり描写されていた)そういうところ非常に上手なんですよね。けもフレ1の時からさすがというかなんというか。

そしてりりちゃんの最後にあのだいだいに残したメモ、多分変わる寸前で削除したんでしょうね。というかおそらく人格レベルで自分が変わるだろうからちゃんとやりたいことやってねって書けるの普通にいい人すぎますね。善性が。

 

と、こうやって回想でいい感じで終わったからこれで終わりかーと思ってたら、まあやってきたんですよね。これに関してテレビで見ていた方がダメージというか、インパクトでかかったんじゃないでしょうか。時間的には完全にいつも通り終わる流れでしたからね。

エンディングもそれからの展開を示唆させるような内容でしたし、完全に油断しきっていたところにあれが……突如としてわかばが血を流している、というカットが流れて終わりになります。

基本的にエンディングの後には何もないよね、という視聴者心理を巧みに利用した演出は多くありますが、『ケムリクサ』のそれは通常以上に視聴者にぶっ刺さるようになっています。特に、過去回想、という一大イベントなだけあってまさか現実で何かあるわけはないだろう、という完全に油断したタイミングをついてくるのは非常に悪質です。

とはいえ、これに関しては前情報なしで見ていた人が心底羨ましいですね。僕は事前にエンディング後がやばい!と前情報が入ってしまっていたので、ある程度ショックは軽減された状態で見てしまったので……。

 

とにかく構成力が強いんですね『ケムリクサ』。ここら辺は口コミでブームになったという『カメラを止めるな!』と似たものがありますね。とにかく基礎スペックが高い。

まあ今日最終回なので、皆さん是非11話まで見た上で最終回、見ましょう!

 

Episode.1
 
ケムリクサ(通常版) [DVD]

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