『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』感想─繊細に紡がれる、愛を描く傑作。
ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝、減点方式だと70点ぐらいだけど加点方式だと4景2億点ぐらいな映画だったな……。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
僕個人としてはこのぐらいの距離感でしたね。
かの京都アニメーション最新作ということでかなり期待していったわけですが、結果としては『仮面ライダービルド』を見終わった時のような気分になりました。
※ネタバレ注意!
正直中盤で切ってた方が話としては美しかったし綺麗だったんだけど更に進めたことで物語としてはこれ以上ない程完結してるから難しいな……。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
正直本当にこれで、僕は後半のパートが完全なる蛇足だと思ったわけです。
率直に言って物語の盛り上がりのピークは中盤のイザベラからテイラーへの手紙だと思っていて(あそこで泣いた)その分そこから続ける!?みたいな驚きがまずあったわけですね。当然、後半のテイラーパートの完成度も高く、また感動を誘うものであったわけですが(計3回ぐらい泣いた)それはそれとしてシンプルな全体のロードマップを見た時の構成のうまさやらなんとやらの話なわけです。
おそらく中盤で切っておけば余計な描写無しで終わらせられ、更に姉妹の未来も明るいように描ける……となっていたと思うわけですが、少なくとも製作陣はそれで満足はしなかった。そこを、たとえ形が歪んで綺麗でなくなろうとも徹底的に二人の未来を幸せに染め上げたかったようです。まあそういう視点から見れば(すなわち加点方式であれば)極めて完成度の高い作品と言えるでしょう。それぐらいに愚直なまでに素直で、そして純度の高い泣きの脚本でした。
時系列が曖昧だったんだけど外伝は4話と5話の間なのね。となると話を全然覚えていないな僕は……。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
正直何話がなんの話だったか全然覚えてません。ただ、劇中で「星座の話」が出てきたことを踏まえると6話以降じゃないとつじつまが合わないんですがどうなんですかね。と思ってPVを見てたら高レベルのネタバレぶち込んできてて笑った(見なくてよかった)。
ヴァイオレットエヴァーガーデン外伝、ほぼ全編ラブレターだったしエンディング曲まで「エイミー」にして揃えてくる圧の強さ。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
ちゃんと本編通りの愛の物語だったし本編通り普遍性のある話で人に勧めやすいし完璧だったな。あの蛇足(というほど酷くも無い)が無ければ個人的には完璧だった……。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
本編は多種多様な群像劇な側面が強いですが、本作は一体誰の趣味かは知りませんが女学校を舞台にした百合100%の作劇が繰り広げられていました。どこを見ても関係性が百合。ヤバい。
やはり特筆しなければならないのは姉妹百合の部分でしょう。イザベラ……エイミーとテイラーの二人の関係性がこれでもかというほど丁寧に描かれます。前半ではあくまでも示唆する程度に留め、後半で一気に解放して二人の対照性を、ヴァイオレットという鏡を通して描き出す。
忘れていましたが、本作で特に重要なファクターは対照性であると考えています。
ヴァイオレットとイザベラに始まり、イザベラとテイラー、テイラーとヴァイオレット、テイラーとベネディクト……等々、節々に対照となる関係性が仕込まれていますが、中でもヴァイオレットは文字通り鏡となる存在として本作では立ち回っています。その象徴的なシーンがダンスレッスンの際の鏡に映るイザベラとヴァイオレットのシーンですね。夕焼けの色使いが尋常じゃなく美しいとか色々とありますが、やはりあのシーンであの二人はただの対照ではなく、ヴァイオレットという鏡を通して誰かを映し出す、そんな関係性だったわけです。では誰が映し出されているのか?それは紛れもなくテイラーでしょう。
まあこれ以上野暮なことを書く前に皆さんさっさと観に行ってください。この手のやつは大筋を知ってても物語の構造がシンプルすぎてネタバレの意味がないやつなので、素直に感動してきてください。逆張りオタクは知りません。
地味に本編で担当回の無かったベネディクト君の救済枠でもあったな。とはいえあのパートは……うーん……。
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
僕は声帯のおかげでベネディクト君が一番好きなキャラなんですが、いまいち活躍が薄いのが難点。少なくとも見ていた記憶ではあまり前面に出てきた、という印象では無かったんですが……これ間違ってたら僕が恥ずかしいやつか。まあとにかく非常にいい役回りを得られていたなぁという話です。
作画、演出も非常に素晴らしいものでした。さすが天下の京都アニメーションと言った感じで、人物の作画はもちろん、背景の描写が特に素晴らしい。個人的に一番好きなシーンはおさげのヴァイオレット(あの髪型っておさげっていうの?)に手を引かれるイザベラが木漏れ日を見上げるシーンですね。「貴女のおかげで世界が輝いて見えた」じゃないですか。最高ですよ。
ダンスシーンもめちゃくちゃ良かったですしね。あれだけの作画──特にあのヒラヒラしてる部分……名前がわからない──の作画は非常に……という感じです。慣性の勉強はしてないのであれですが、あそこを動かすのすごいなぁ、と思いましたね。
演出も言わずもがなで、くどいぐらいにコテコテした京アニ演出は健在でした。今回は静謐と空間を活かした演出が多い印象でした。全部そんなのかも。
特にこの作品において特筆すべき点としては「光」の表現が挙げられるでしょう。テレビシリーズの時点から素晴らしいものがありましたが、劇場という場所で上映されることで、その繊細な表現はより輝きを増し、世界に深みをもたらしています。記憶がおぼろげで、どのシーンだったかは定かではないんですが、確かヴァイオレットとイザベラが眠る寸前に、二人の頭上で二つだけ星が輝く──みたいなシーンが特に好きですね。あの輝きは劇場の暗さじゃないと見逃してしまいそうなほどだったので。テイラーとヴァイオレットだったかも。
星に関する描写もそうですし、本当に作品全体に差し込む光の描写が素晴らしいのでそこに注視してほしいですね。いや、もう観てる人前提の記事なんですけどね……。
今回の「京アニこれ実質セックスだろ」枠は何個見つけられたかな?君も探してみよう!
— T.A.W.O. (@CGB_001) 2019年9月11日
僕は4個でした。他に見つけた人は僕に教えてください。
そういえば歴史の記憶が曖昧なのであれなんですけど、ヨーク家とランカスター家ってそういうことですよね。薔薇戦争の……。ミスランカスターはいい百合をやってくれていたので、無事だといいんですが……まあそもそもあの世界が史実通りとも限りませんしね……心配だなぁ……。
僕は京アニの戦闘描写に関してはセンスは無いなと思っているので今回はそういうのが全くなくてよかったです。極めて写実的な描写は本当に上手いんですが、戦闘アニメーションは定点カメラ映像でも見てる気分になって「作画がいい」以外特段褒められる点が無くって……『フルメタル・パニック!』二作品担当の頃はこう、まだ良かったんですが……なんなんでしょうね。
色々言ってきましたが、何だかんだ「そもそもが劇場版」と言われてきた『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の初の劇場版としてこれ以上ないほど素晴らしいクオリティの作品であったことは確かでしょう。このブログを読んだなら観てるとは思いますが、観てないで評判だけ探すあなたは早く観てくださいね♡京アニに金を落としましょう。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』ED主題歌「エイミー」
- アーティスト: 茅原実里
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