アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『トムとジェリー』映画化記念で、個人的初心者向け作品10選を発表します。

華麗なるカートゥーン&ミュージカルの世界(CD+DVD複合)

まあ発端はこのニュースです。

というわけで、実写とアニメのハイブリッドで映画化。定期的に映画化される(というかもとが映画)の『トムとジェリー』でも、かなり珍しい事態でしょう。

この件で言われて気づきましたが、この作品群原初は80年前ぐらいなんですよね。まあそりゃ「往年の名作」なんて書かれ方しますよ。

僕にとっては『トムとジェリー』はまさしく「聖典」、バイブルであり、あらゆる価値基準の素となっている存在なんですね。『トムとジェリー』と『キングダムハーツⅡ』で僕はできている。

というわけで、関係性的側面とコメディ的側面の両方から、独断と偏見による初心者向け作品を選定していきます。また、そんなことより見せろって人はとりあえず

これから見てください。

 

 

1943年5月22日公開『淋しがりや』(原題:The Lonesome Mouse)

初期トムジェリ回屈指の名作です。ストーリーとしてはいつものように(この時点で10本目ですが)トムをボコったジェリーですが、トムが追い出されたことで様相は一変します。最初のうちこそ、トムの絵をヒトラーにして唾をかけて遊んでいたジェリーですが、だんだんと孤独を感じていき……という、カプ的にはテンプレ中のテンプレを突っ走っています。画面的にも見所は多く、音楽と作画のリンクを意識する演出が遺憾なく発揮されています。途中のバンドシーンは必見。オチはひどいです。

 

1943年6月26日公開『勝利は我に』(原題:The Yankee Doodle Mouse)

劇場公開時は『星条旗よ永遠にの巻』という訳だったそうです。ちょうど戦時中真っ只中ということもあり、トムジェリの関係性というよりは、戦争の風刺的なコメディとなっています。初のアカデミー賞受賞作なだけあり、テンポや作画は非常に素晴らしいです。また、ダイナマイトや、物理法則を無視した小道具など、『トムとジェリー』の魅力が詰まった回でもあります。

 

1944年2月26日公開『素敵なおさがり』(原題:The Zoot Cat)

少し個人的な趣味の入ったチョイスです。内容としては典型的なトムジェリですが、やはり特筆すべきは「ズートスーツ」というクソダサいスーツを着てキザなムーブをかますトムでしょう。ダンスのダサさと、凄まじいアドリブ力が魅力です。ピアノからの炎上の流れは歴代でも屈指のものかと。また、それを抜きにしても純粋にギャグのテンポが非常に良いのでオススメです。

 

1944年11月23日公開『ネズミ取り必勝法』(原題:Mouse Trouble)

劇場公開時は『ネズミ取り虎の巻』という邦題だったそうです。これもアカデミー賞受賞作で、まあクオリティが素晴らしく高い。フラグを立ててから回収までの速度が凄まじく、テンポの良さでクラクラしてきます。また、トムの代名詞、「叫び」が存分に含まれている作品でもあり、バリエーションも豊富です。あと、トラウマシーンと評されるシーンが含まれていたりしますアカデミー賞受賞作ですが、地味に作画ミスのシーンが二箇所あります(トムの尻尾が消えてるシーンと、ハゲたトムの頭が元どおりになっているシーン)。また、レアなトム死亡回の一つです。

 

1947年4月26日公開『ピアノ・コンサート』(原題:The Cat Concerto)

劇場公開時は『猫の演奏会』という邦題だったそうです。本作もアカデミー賞受賞作です。トムとジェリー』の音楽回にハズレなし、という言葉があるように、本作品も非常に素晴らしく良い出来の作品です。『トムとジェリー』の重要な要素に、「音と画面のリンク」というものがあるのは前述の通りですが、本作はそれを非常に高い精度でこなしています。これが72年前だっていうんですから驚愕です。また、アニメーションの精度ばかり注目されがちですが、トムジェリの関係性ものとしても非常に良さがあります。

 

1948年9月18日公開『強敵あらわる』(原題:Old Rockin' Chair Tom)

この話はトムジェリ共闘回の一つです。イナズマ(原語では「Lightning」)と呼ばれる電撃のように早い猫(※クズ)を倒すため、トムとジェリーが手を取り合います。あと共闘回の常として、ジェリーは喋りますね。この回は歴代屈指の強小道具、磁石の登場回でもあります。また、オチは共闘回では珍しく仲間割れしないで終わる回でもあります。そのため、トムジェリカプ初心者向けの回でもあるでしょう。オチではしっかりと悲鳴ノルマも達成しています。

 

1950年9月17日『星空の音楽会』(原題:Tom and Jerry in the Hollywood Bowl)

トムジェリ音楽回にハズレなし、という言葉があるように、この回も音楽回の一つにして名作です。音と画面のリンクをその特徴とする『トムとジェリー』ですが、この回もその精度は非常に高く、またギャグの質も高いです。また、「ネズミ捕り以外なんでも出来る猫」の面目躍如として、本作では全楽器一人演奏の神業を披露します。転職した方がいいんじゃないでしょうか。「オチ」も非常に好きな作品です。ちなみに、前述の『ピアノ・コンサート』でも着用していたスーツに酷似したものをトムは着ています。

 

1951年4月7日『ごきげんないとこ』 (原題: Jerry's Cousin)

劇場公開時は『チュー太武勇伝』だったそうです。正気か?ジェリーのいとこが唯一登場する回でもあります。アカデミー賞ノミネート作の一つです。いとこの名前は日本では「ダイナマイト」、原語では「マッスルズ」です。その名の通り、トムジェリ界屈指の戦闘力の持ち主で、今なお最強議論に名前が上がります。『ONE PIECE』のギアサードの元ネタとされるのもこの回です。また、トム七変化の要素も含みます。また非常にメスっぽいジェリーが観れる回でもあります。

 

1953年3月21日『ワルツの王様』(原題:Johann Mouse)

トムジェリ音楽回の一つにして、アカデミー賞受賞作です。この回はこの時期の『トムとジェリー』には非常に珍しく、人間が多く出てきます。また、「ネズミ捕り以外なんでも出来る猫」の再臨として、「How To Play The Walts In Six Easy Lessons by Johann Strauss」(あなたも6つの簡単なレッスンでワルツが弾ける ヨハン・シュトラウス著)をこなしたトムは瞬く間に高難度のワルツを引き出します。マジで転職した方がいいんじゃないかな。本編は物語の本の中、という体で語られており、トムとジェリーもいつもと違い、ジェリーは「ヨハン」、トムは名前無しです。オチも本の中、ということに起因するものとなっています。また、音と画面のリンクの精度も高く、ピアノを弾いてない時にはしっかり音が鳴り止むなど、細かい描写がしっかりしているのも魅力です。

 

1957年4月19日公開『なにがなんだかわからない』(原題:Timid Tabby)

この回はトムのいとこのジョージが登場する唯一の回で、さらに数少ないトム勝利回の一つで、さらに数少ないトムが最初から最後までジェリーを圧倒している奇跡の回です。表現の幅としても非常に面白い回で、トム勝利回は名作、と言われる所以もあります。

 

と、以上の10本を個人的な初心者向け入門作品として挙げたいと思います。

今なら、名作が多いハンナ=バーベラ期ならチャック・ジョーンズ期まではパブリックドメインになっているので、格安で買えたり(翻訳のクオリティは知りませんが)ネット上に動画が大量に上がっています。まあ視聴に関しては各々ご自由にしてください。

 

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