アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『名探偵コナン 紺青の拳』感想─ミステリーとアクションのバランス感覚の優れた、お祭り的傑作。

劇場版 『名探偵コナン 紺青の拳』オリジナル・サウンドトラック

僕は大して『名探偵コナン』に対して明るいわけではないのですが、コナン映画だけは毎年観に行っていますね。そういうわけで、『名探偵コナン 紺青の拳』もきっちり公開日に観に行きました。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、監督は以前から演出や助監督としてコナンで活躍されていたという永岡智佳氏が初監督、脚本は近年では高クオリティなストーリー構成であった『から紅の恋歌』の脚本の大倉崇裕ということで、なるほど納得のクオリティでした。

 

本作は怪盗キッド4年ぶりのメイン作であると同時に、京極真のデビュー作でもあるので、その点がどう作用するかな、とすこし不安に思っていたのですが、コナン映画特有のトンチキさと高クオリティのミステリーがいい感じに融合していて、割と求めていた『名探偵コナン』といった趣がありました。

 

今作は冒頭がゲストキャラ達の諸々の説明感が強かったですね。ただ、おかげで色々と考える際にかなりわかりやすくなっていたような気はします。あと、これは多分気のせいではないと思うのですが、今回妙にOP入るまでが長かったような気がするのですが……気のせいですかね?OP自体は今回もBGM映像の両面で良かったです。

 

序盤に関しては『名探偵コナンRTAか?みたいな展開の連続で思わず笑っちゃいましたね。高速で処理される博士のクイズノルマずるいでしょ。

その後もマジでRTAか?みたいな展開続くのでここに関しては観て判断して欲しい感じはありますね。ただ、僕はあれはRTAだと思っています。

そして満を辞しての京極真登場あたりから全体的に今回のノリがはっきりとしてきましたね。あっ、今回トンチキ路線だっていう感覚が。

 

京極対キッド戦など(あの威力何というか、なんであれがサッカーボールって気づいてるの?)今作はアクションにも傾注していますが、ミステリー面も完成度が非常に高いです。シンガポール全体を巻き込んだ壮大な犯罪計画が明らかになった時はなかなか凄いな……と思いましたね。小学生並みの感想。

また、今作はゲストキャラクターの造形というか、魅せ方が非常に上手です。ただ単にセリフのみで語らせるのではなく、回想シーンを効果的に使ったり、行動でそのキャラの性質を端的に示したりと、演出が冴え渡っていた印象です。レオン・ローがスマホでなんで写真撮ったんだろうっていうのがわかった時のリアクション、多分レイチェルと同じです(あそこ凄すぎません?)

あとTwitterで見たのですが、今作の犯罪がシンガポールのリアルな情勢の風刺になっている、という情報ですが、これは僕が情勢に全く興味がないのでよくわからないのが非常に悔しいですね。ただ、それらの壮大さを、全てレオンの、なんというか、"醜さ"を表現するために使っていたのは本当に凄まじいと思います。まあ、シンガポールのあれこれに関しては興味のある人は調べてみるといいんじゃないんでしょうか。

 

アクション面も、散々褒めているように非常に素晴らしいです。

京極対キッド戦で京極さんの実力を手際よく見せつけ、その後も京極さんがメインですが、キッドのアクションもバッチリ魅せてるのが本当に凄いんですよね。キッドが遂に無風状態でも自由に飛行できるようになったので、空中アクションの幅が増えたのも良いですね。

コナンが途中で(とゆうか終盤)であの……よくビーチとかにあるあれでスケボーみたいなことしだした時が何かの最高潮だと思いますね。

もっといえばラスト、京極さんがミサンガ切られてからの作画が本当に極まっていました。あそこだけは、本当にアニメが、作品が変わっていた。

 

ただ、まあ、ベタ褒めにできるかというと、そういうわけではありませんが……。

一人の男の物語として非常に完成度の高かった、またテーマを描く上で必要な要件を満たしていた『ゼロの執行人』に比べて、今作は正直とっちらかっていたな、というのが正直な感想です。

映画的な導線はキッドが持っているのですが、映画的な趣旨は京極さんが持っているので、それぞれのキャラで描写が虫食いし合っている印象を受けましたね。正直今作をキッド映画としてみると不満足します。

で、本編でやっていたように京極さん映画にすると色々と描写というか、尺が足りない(演出とか魅せ方自体は良かった)ので、いまいち映画としてはどうなんだろうな、というところですね。

ただ、先程から述べているように本当にミステリー面は本作非常に良かったので、その点に関しては手放しで褒めたいですね。中盤の、「これまでの情報まとめ」シーンの演出のキレっぷりは本当に凄いです。書いてて思い出しましたが、あれの既視感『イコライザー2』ですね。『イコライザー2』の方はそっちの方で名作です(ダイレクトマーケティング)

まあ、色々と文句も称賛もありますけど、エンディング入り前の「江戸川コナン……探偵だ」があまりにも「ぼくのかんがえたさいきょうの『江戸川コナン……探偵だ』」すぎて好(ハオ)!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!となったのでそれだけでこの映画は満点突破しているのめ大満足です。正直、俺はあのシーンを観に行ったのか、という納得がありました。エンディング後のおまけも良質でしたしね。

 

そして最後に。

来年も楽しみです。

 

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名探偵コナン 紺青の拳 (小学館ジュニア文庫 あ 2-36)

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