アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『モブサイコ100 Ⅱ』第8話感想─計算され尽くした作劇、視聴者もモブも徹底的に追い詰める構成。

モブサイコ100 ? Original Soundtrack

いや、終わるまで書くまいと思っていて、それは単に追いついてないっていうのもあったんですけども、あまりにも面白すぎて筆をとった次第です。

こんな下手な文章より本編見せろって人はとりあえず

Dアニメストアのリンクを貼っておきますのでみてください。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

話数カウントは『008 それでも〜前へ〜』。

そもそも『モブサイコ100 Ⅱ』は、一期から進んでモブや霊幻を追い詰める、メインキャラにすら容赦のない追い込みをかけるスタイルになっています。

そして前回までが霊幻師匠の追い込み回で、そして今回は視点変わって主人公のモブこと影山茂雄がメインの回となっています。

 

モブサイコ100 Ⅱ』になってからは、モブ自身の変化が取りざたされており、それは第1話や今回の第3話で顕著ですが、二期通しての成長の集大成としての話としては第8話がベストだと思います。

サイコヘルメット教が、前回の一件でモブ君に目をつけたので、全校マラソンでモブ君を狙ってるから超能力で一位になって!とマラソンで入賞したらツボミちゃんに告白するんだという目的が同時に明かされる導入はもはや美しいの一言ですが、そこはモブ、やはり超能力に頼るという選択肢がなかったのが流石です。

そして、マラソンに向けて十日間、必死に練習する過程が川井憲次さんのかっこいい劇伴とともに映されるわけですが、それ以前の話を見ていると色々と感じ入るところがあります。霊幻師匠とか。

ツボミちゃんのシーンはどう解釈していいんでしょうか。あれ単体だとなんとも言い難いんですが……。

 

そして肝心のマラソン当日。モブはスタートから後ろから来た人に押し倒されて、脚を汚してしまいます。しかしモブは、それでもなお超能力を使うことなく、諦めることなく、走り続けます。自分を変えるために、必死に頑張るのです。『モブサイコ100』を追ってる歴も浅く、原作も読んでいませんが、非常に良いシーンだと思いました。途中のカットの一つ一つがまたいいんですよね。霊幻師匠とか。あとエクボがなぜかめっちゃモブの体調に詳しいのは笑うべきかどうか少し迷いました。

モブは必死の努力にもかかわらず、限界を迎えて途中でぶっ倒れてしまいます。しかし、両親からは祝福され、教師からは賞賛され、モブは確実に変容を遂げつつありました。それはしあわせなものであったでしょう。しかし、視聴者は思い出すことになるのです。自分が一体「何」を見ているのか。

 

家で楽しい団欒のひと時を過ごす影山家に一人の来訪者が現れます。それはかつて大暴れしていった爪の少年、ショウ。彼は何やらいった後にものすごい形相になりました。

シーンは変わってモブ視点。エクボと家路についていると、住宅街から煙が上がっていることに気がつきます。そしてエクボは、それがモブの家の方向だと気が付いてしまいます。

そこに映し出されたのは、燃え盛るモブの家。安心と安全の象徴である、家庭が燃え盛る様です。

モブは放心しながら、燃える家に突入していきます。しかしそこはモブ、バリアで何も問題はありません。モブは家に誰も残っていないことから、無事に逃げ出したんだと安心しますが、エクボが玄関で争った形跡があると報告すると、緊張感が増します。

そして二階。そこは一体誰の部屋か、おそらく律の部屋だったのでしょうか。ちょっと後で確認しますが、モブが希望的観測を述べながらドアを開けると、そこには……。

そしてモブのパーセンテージが100を超え、いつか見たことのある「???」になったところで話は終わりました。

 

モブサイコ100』、考えてみれば創作の基本である「上げて落とす、そして上げる」を徹底的に忠実に実行しているコンテンツなんですよね。戦闘の組み立てこそ割となろうっぽいですが、それは舞台装置としてのモブの役割もあってのこと。溜めが長ければ長いほど、その後の逆転も光るものなのです。『ワンパンマン』とそこらへんは一緒ですね。

で、冷静に考えてこの話を見てみると、もう凄まじく露骨に、この後落とす、と言っているようなものなんですよ。散々持ち上げられるモブに、「帰ったらごちそう」というモブ母のセリフ。これだけやって何もなかったらむしろ凄いってレベルですよ。

まあ全く気づいてなかったの、僕だけかもしれませんが。それでも、これだけの基本的構造を隠して視聴者に見せることに成功してるんだから凄いですよ本当に。ま、次回予告を見る限り安心っぽいですけどね。