アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』感想─空を飛ぶことを描く、フライトシューティングの傑作。

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まず前提として、僕は難易度ビギナーでクリアしました。エースコンバット初挑戦だったので……。

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』非常にいいゲームでした。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

本作は『エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー』から10年後という訳で、主に無人機がストーリーのメインとなっています。書いてて思いましたが、特に「という訳で」ではないですね。

メインのストーリー自体は、恐らくエスコンシリーズにお馴染みの、どん底に落ちる主人公、ひたすら上げられる主人公、とにかく熱い展開etc……といった具合です。まあこれは創作の基本でもありますが。

ただ、今回は先に書いたように、無人機、およびAIがストーリーの核に入っています。核といっても、そこまでガッツリ語られる、というほどでもなく、多くは語らない、という手法で描かれます。

それがまた、本作におけるAIの「無機質さ」と絶妙にマッチしていて、一体どこまで計算づくなのか考えさせられます。

またストーリーの中核としては、「空を飛ぶこと」と「戦争というもの」に関しても外せません。

「空を飛ぶこと」というテーマを、12年ぶりに世に出るナンバリングタイトルで、原稿最新機のスペックで再現されたリアルな「空」を飛ぶゲームで描くことがまずかっこいいんですが、これもまた多くは語らず、最後はプレイヤーに全てを委ねているのがかっこいいんですよね。空を飛ぶことは、恐怖も喜びも、そして苦痛もパイロットに与える。しかし、進歩した技術があれば、あるいは……ということが本編中で示されています(ミハイがその役割ですね)。その問いにあえて本編中で回答を示さず、全てはプレイヤーに……ということができるのが本当に凄いしかっこいいんですよ。

そして「戦争というもの」。これは古今東西あらゆるメディアで語られていることですが、戦争、特に空戦を描くこのゲームにおいて、そのテーマが持つ説得力は、何か異常な求心力を持っています。

全年齢対象のゲーム故に、凄惨な描写はありません。しかし、詳細なビジュアルが無くとも、ここまで戦争というものの凄惨さを描けるものか、とプレイしていて感じました。

そもそもこのゲームは「あえて語らず」の手法を取っているゲームです。何を思うが、何を感じるかは全てプレイヤーに委ねられている。それは制作陣からの、信頼の証でもあるし、あるいは投げやりな気持ちかも知れない。しかし、僕は前向きに捉えたいと思っています。そうじゃなければ、このゲームをやった甲斐がありませんから。

単純なゲーム性としても、このゲームは非常に高い水準だと思います。

爽快感のある空戦がウリのシリーズですが、今作では公式サイトにもあるようにその環境のリアルさが特徴です。

「空の革新」を謳った今作は、正に「革新」ともいえるディテールを持っています。過去作やったことありませんが。

雲に入れば水滴が付着したり、アイシングや乱気流による影響を受け、落雷を受ければHUDが大きく乱れてドッグファイトどころではありません。また気流等もきっちりとあるので、一定の場所では機体の保持にある程度苦労します。

これだけ、実際の(いうて知りませんが)空を再現しつつ、しっかりプレイしてて楽しいと思わせる難易度調整は流石の一言。伊達に名作シリーズと言われているだけのことはあります。

また、今作は機体の変化がエアクラフトツリーという形になっており、いわゆる一般的なゲームにおけるレベルアップが機体性能の進化という形で体感することができます。ある軍人さんがいっていたことですが、戦闘においては、やはり高性能の機体を使っている方が勝つと。そういう意味でも、「レベルアップ」という形式を再現したエアクラフトツリーは正しいものなのでは、と思います。嫌なら初期機体でやっていればいいわけですし。

難易度に関しては、上記でも述べた通りその調整が素晴らしいことはもちろん、現代のゲームでは……と、あまりくくりたくはないですが、純粋に難易度が高くなっていく、硬派なゲームです。

初見では対処できない、「対地ミッションからの敵エース遭遇」や、峡谷、トンネル等、最初のミッションを越えれば、ひたすら「純粋に練習して突破するしかない」ステージ構成になっています。

その分、突破できた際の喜びは大きいものです。NPCによる賞賛も相まって、まるで英雄になったかのような気分になれます。なりました。

また、本作を語る上で外せないのは、やはり敵エースミスターXの存在でしょう。

何機落とされたかもうわかりませんが、やはり印象的なのは彼のと最後の決戦。新兵装を搭載してくるも、命中できないと見るや否や、早々に使わなくなるその判断は、NPCながらかっこよすぎです。

しかし、本作をプレイして一番印象に残るのは無人機群でしょう。

無機質なデザイン。人が乗っていない故の超機動。大群で迫り来る厄介さ。そして何より、こちらをただ落とそうと迫り来る恐さ。

作中での無人機の行動(と呼べるのかわかりませんが)も合わさって、非常に恐怖を煽る存在です。

やや話はそれますが、今作の無人機に対する解釈は凄く印象的なものです。

あの博士が言っていた、「欲がない」という言葉。僕はそれを、人の機微を捉える力と解釈していますが、「欲がない」故に現実で起こっている戦況の変化に対応せず、ひたすらただ自分たちにプログラミングされた「目的」を達成するために、自分たちで勝手に行動していく。それはある種正しい行動ですが、「欲がない」故に間違っているのです。ラスト、最後の無人機が「最強となった自分たちのデータを全世界に送り自分を量産」しようとしたのは、中々怖いものがありました。が、それは僕が人間だからかも知れませんね……。

もうこのままそれて話を続けますが、本作終盤の全ての通信がダウンした状態は、中々に恐怖を煽りました。電子機器に頼り切った現代の戦争において、情報というものが正しくやり取りされないだけで、自分たちで殺しあうことになるかも知れない、ということは、現実でも起こりうるかも知れないかもしれないことなんですよね。それをこの非常にリアルなディテールの世界で描かれるのは、非常に恐いことです。また、先の無人機の、暴走とも取れる行動は、この通信のダウンに起因していたわけで、そういう意味でも、戦争の恐さ、というものを非常に上手に描いていると思います。

あとこれは非常にいいな、と思った描写なんですが、頭の固いというか、後退的な考えの国が進んだ技術を見て「まじないだ」とか言いだすの変な質感があって凄かったですね。

この作品全体通して言っていることは、「技術を使うこと」なんですよ。

序盤にある、「技術の進歩を舐めているとあっという間に取り残される」という意味の言葉。これは文字通りの意味もあると思いますが、もう一つ、技術を使うものに対する警鐘のような意味もあると考えています。

銃やダイナマイトは、正しく使わなければ非常に多くの人を傷つけられます。技術も同じことで、正しく使う知識、認識がなければ包丁を振り回す子供と、つまり取り残されいることと全く同じことなのです。

ただ凄いと見るだけではなく、自分もまた当事者であると認識すること。それがこの高度な技術を持つ社会で大切である……そんなことが言いたいのかな、と全て終わってから考えてたりしています。

とまあ、長々と語ってきましたが、総じて非常に楽しいゲームなので、皆さんは難しいことよりも先に楽しむことを考えてプレイするのが一番です。

僕は同梱のエスコン5をプレイしていますので、これを読んだ人は是非『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』プレイしてくださいね。