アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『HiGH&LOW THE WORST』感想─『HiGH&LOW』を総括する凄まじきクロスオーバー大傑作!

HiGH&LOW THE WORST EPISODE.0(Blu-ray Disc2枚組)

僕のTwitterをフォローしてる人……の話題の切り出し方もいい加減飽きてきたので本題にさっさといきましょう(誰かフォロワーの増やし方教えて?)。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は『クローズ』『WORST』を読んでないのですが、それでもなお鳳仙のキャラ達が非常に魅力的だったので、そこは凄く良かったなと。

僕は常々「『ハイロー』で一番好きなのは鬼邪高」と言って憚らないですが、今作『HiGH&LOW THE WORST』は鬼邪高に焦点を当てただけあってめちゃくちゃに面白かったですね。彼等の魅力を余すところなく表現していた。

 

さて、HiGH&LOWシリーズにおいて重要な要素として真っ先に挙げられるのは、「大人と子供」という概念が挙げられることは、皆さんご存知でしょう。そして『HiGH&LOW THE WORST』は実質的にそれまでのハイローの再演であり、総決算であり、未来へ進めるプロローグでもあるので、そこの描き方がめちゃくちゃに上手いわけです。

まず全体に通底して今作で描かれているのが、大人という存在の強さです。ハイロー世界では大人は九龍を始めとして(隠蔽できるんだよぉ)、割と汚いもの、とされがちですが、そこはバランス感覚に優れているパフォーマ集団の映画なだけあって、きちんと善い大人も存在しています。まぁ、出番がだんだん少なくなるのが痛いところですが……。

中盤で語られるように、本作では大人というものに一定の解答を出しています。子供は夢を見るだけだが、大人はそれを叶えることができる。大人から子供へ、モラトリアムの延長にいた村山さんは、社会にもまれることで、彼自身の夢をきっと見つけることができたんだろうと、そう思います。てか思わないとやってらんねぇ……村山さぁん!退学しないでくれよぉ!(涙)まぁ、いい加減卒業しないとね……という話でもありますがね。村山さんの今後については今後の展開が楽しみです。

遅くなりましたが、本作の主役、花岡楓士雄もめちゃくちゃにいいキャラでしたね。ある種少年漫画の主人公的なキャラ立ちが魅力的でした。今日日ここまでテンプレな少年漫画的主人公キャラはそうそういませんよ。その上で、それを魅力的に描ききっているのが凄まじいという話です。役割的にはコブラというよりヤマトでしたね。コブラは若干隠キャっぽさがありますが(怒らないで……)楓士雄はかなり光のオーラを感じたので。

というかみんないいキャラなのでこれに関しては僕が5000字書くよりも実際に見た方が早いと思うので、皆さん観てください。髪は細部に宿ると言いますが、この映画はそれを地で行っていて、出番の少ない端役に至るまで丁寧な描写が見られます。言葉にして語らなくとも、このキャラがどういうキャラなのか、とかが一目でわかる演出は流石の一言です。

 

ストーリーはかなり『HiGH&LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜シーズン1』でしたね。その上できちんと独自性のある展開にして「終わり」と「始まり」を描いているのが凄くいいんですよね。村山さん達の終わりと、楓士雄達の始まり……という。その中に更に絶望団地とか鳳仙とかも混ざってきて凄まじい群像劇。これらの要素が無駄なく全て組み合わさっているのが本当に凄い。ある種のアートですよ。特に語り口がとてもスムーズになっていたのは、進化を感じましたね。僕は『ザム』の回想連撃ムービーも大好きなんですが、こういうスタイリッシュなフィルムも当然大好きです。

絶望団地の仲間たちは大人になっていくけれど、それはただ変わっていく、それまでを捨てるということではない。変化を受け入れながら前へ進むことと停滞を受け入れそこに留まることは違うんですね。みんな大人になっていくけれど、大切なものは決して変わらない。それは「永遠」ではなく、「無限」である……という、ハイローで最も大事で最も通底しているテーマがきちんと込められていたのがかなりグッときました。また、ある種のリブート的な側面があるこの作品で(新世代のお披露目的な面が強調されて宣伝されていましたので)その最も大事な部分が再び強く提示されたことがとても良かったです。

アクションの出来もめちゃくちゃ良くなってましたね。特に今作はクロスオーバー作品故かキャラの戦闘力バランスの付け方が非常に巧かったという印象がありました。ここら辺は『ザワ0』で言っていた「井の中の蛙〜」の話に繋がるようになってますね。全日の生徒たちは強いけれど、さらにそれを上回る統率の取れている鳳仙はバランスで圧倒し、定時の鬼邪高は純粋な強さの質が高校生達とは違う、というバランス感覚。あとほとんど出番のないSWORDの人たちの格が自然と上がっていくのも凄い良かったですね。何だかんだ言って彼らも社会人なんだな、っていう。

僕は全然歴史映画とか全く観ないので他の人が言っているのを観て理解したんですが、本作終盤の戦闘は確かに攻城戦の要素が入ってましたね。脚立とか……名前がわからないですが、盾使ったりとか高所からの投石とか、まぁとにかく今までに無いエッセンスが存分に含まれていて非常に面白かったです。牙斗螺の人たちが薬キめてるせいかゾンビっぽくなってたのも結構不気味さがありましたし。

あとはお約束の乱戦パートとかタイマンパートもめちゃくちゃ良くなってて本当に凄かったです。個人的にはやっぱ冒頭の轟vs村山が好きですね。ドラマシーズン2でも二人の戦いはあったわけですが、本作は劇場版なので予算が増えて、舞台の使い方が豪華になってたし、単純なアクションの出来もめちゃくちゃ良くなってました。何だかんだタイマンが一番好きですね、この作品シリーズ。

カメラワークも極まってましたし、アクションに関しては結構真面目に最高傑作張れるんじゃないんでしょうか。それぐらいには凄かったです。

 

いつものフォーマットだと、最後にちょっとした不満点を書くんですが、今回は、何とありません。それぐらいにはこの映画、だいぶ僕の琴線をガンガン鳴らして行きました。大抵の映画には退屈なシーンがあったんですけど、この映画はどこを切り取っても大概面白いんですよね。まぁ、退屈すれすれ、という部分はありますけど、僕が好感度振り切れてるのでそれは退屈にはなりませんでしたね。

ハイローお約束のコメディパートも非常に面白く、僕が観た回では大体のギャグシーンで笑いが漏れてましたし(ラストの沢村と唯ちゃんが付き合ってるのを見て佐智雄がぶっ倒れるシーンが一番だった)、ドラマパートも退屈になりすぎない程度の塩梅で必要な要素を全て見せていました。繋ぎのアクションパートも、痛々しいシーンに仕上がってましたし(本当に痛そうだった)、本当に大傑作ですよ。でも、強いて言うなら、中盤の鬼邪高対鳳仙のシーンが、非常にかっこいいけど、全くもって爽快感がないバトルシーンだった、と言うことぐらいですかね……『シビル・ウォー』、僕は好きですけど、ラストのキャップ対トニーに関しては好きだけど嫌いなので……ここに関しては、まぁVSモノのお約束ではあるんですが、結構悲しいシーンでしたね……大義のない戦い……に関してはドラマシーズン1でもやってましたので是非見て欲しいですね。『ザワ』から入った人には。

 

本当に全体通して素晴らしいクオリティで、次世代のハイローを担っていく覚悟というものをビシビシに感じたので、是非とも、シリーズを追いかけている人にこそ、スピンオフだから……と敬遠しないで見て欲しいですし、ここから入る!と言う人も全然損はしません!むしろかなり初心者向けハイローと言えるので、どんどん見てください!ビジュアルだけでも最高なので!見て!!!!!!!!

 

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