アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』感想─繊細に紡がれる、いのちの物語。

青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない (電撃文庫)

人生においてアニメを見て胃が痛くなることはあるでしょうか。ネットの怖い人は割とあると思いますが……。僕は近年では『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を見ていたら終始胃が痛くて痛くてしょうがなかったです。あのねぇ、空気感が凄いんですよ。(以下、終わらない話)。

では、早速感想を述べて行きましょう。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今作はシリーズで散々伏線張ってきた牧之原翔子完結編ですね。色々と考えていましたが、まさか過去と未来の牧之原翔子が……一つに……!的な展開だとはつゆほども思いませんでした。いささか語弊がありますが大体合ってますね。一つになる人が違うけど。

シリーズ通して非常にシリアスで、また空気感(色々な)の再現がアニメでは特に素晴らしく、非常にキリキリとさせてくる素晴らしい画作り。本当に素晴らしい。ははは。

私怨はほっといてストーリー的な話をしましょうね。

 

普段から憶測でばっか物を言ってますが今回は特に断定的ですね。実際、製作陣は水瀬いのりの演技をアテにして映像を作っていましたと思いますよ実際。それだけ牧之原翔子関連のシーンは本当にエモーショナルな魅力に包まれていました。尋常じゃなく巧いんですよね水瀬いのり。五回ぐらい泣き所があったと思いますが(観た人ならわかるはずだ)僕は全部泣きました。それぐらいやばい。

それとは別に非常に対比のお上手な映画でした。麻衣さんと翔子さん……否、『牧之原さん』の未来という二つの選択肢の対比が本当に。あえてわざわざ同じような状況を二人でやってるあたり悪質なんですよね。咲太くんには心底同情します。

 

あと今回も麻衣さんの面倒くささ爆発してましたね。映画前半ぐらいまでは牧之原さんの事情が明らかになっても尚「は?他の女に浮気してんじゃねーよ」オーラを漂わせてるのマジで凄すぎる。なかなかできませんよあれは。

流石に生死に関わるようなことだと判明すると態度は軟化しましたが、根本が変わってないあたり好感が持てますね。実際何の関わりもない女の子のために、今目の前にいる幸せを投げ捨てろと言われたどうかと思いますけども。それでも咲太の行動を全て読み切った上で自分が犠牲になるんだから凄い覚悟の人ですね。

そう言えば、咲太が死んだ未来の麻衣さんはどういう状態だったんだろうか。咲太が四日であれなんだから麻衣さんなんてもっとひどそうだけども……。

地味なここ好き!ポイントの話をすると古賀ちゃんが一番最初に気づくのは何というか流石って感じですね。実質的に『青ブタ』で時間ものを最初にやったのは彼女なので、確かに最初に観測するなら彼女が一番適任なんですよね。それを踏まえると豊浜が観測できたのがまあまあ疑問ですけども、まあ、そういうことですかね。一応、咲太が作った絆、という風に書いておきますか。

あと双葉がやっぱり最高で……彼女が出てくるシーンはやたらと気合が入ってるような気がします。あの電車に隠れて登場するシーンとか何?ってレベルで無駄にかっこよかったですからね。諸々を抜きにすると一番好きなシーンです。本作だとほぼ全ての事象の正体を見抜いていましたね。ほぼ全部でそうか。なんであそこまでの戦闘力(戦闘力ではない)を持っているんだ……?

 

書き方何回見ても酷すぎるな。でも実際生存してる理由が謎すぎるんですよね。まあ、そこはアニメだから……と流しておいて、実際かなり難解でした。特に『現代』が『未来』で『過去』が『現在』であるとか……言ってたっけ?とにかく言い出したあたりから頭を抱えました。わからねぇ。

でも規模だけでいうならこれまでで最大規模の思春期症候群じゃないんでしょうか。ほぼあの地域全体を巻き込んだ歴史改変を引き起こしてますし。相当なレベルで変わってますよあれ。牧之原さんの認識する時間一つで歴史が大幅に変わるとは……。

でもマジで途中から『牧之原さん』『翔子さん』っていう風に区分しだしたあたりから笑いそうになりましたからね。あまりにも『仮面ライダー電王』すぎる。ストーリー的にもかなり似通ってますし、実質『仮面ライダー電王』ですよこの作品。

まあ戯言は置いておいて実際かなりしっかりとした時間ものでびっくりしましたね。いや、これまでもかなりしっかりしたSFだったんですけども。

ただ、映画だけだとわからない部分が割とあって(予想はつくけど確信は持てない)そういう意味でも早急に原作が読みたいんですが、今は金欠なのでしばらく……待って……。

 

本作は映画にふさわしいスケール感とドラマティックな演出の大作で、とても静謐に満ちていました。これは映画館で観れてよかったなと思っています。それだけに、途中からかなり尿意がキツかったのだけが後悔です。

 

 

サントラネタバレでは?