『神と共に 第一章:罪と罰』感想─地獄を巡り、母子の物語を描く傑作。
韓国版『バーフバリ』とまで絶賛されるレベルの超傑作らしいと噂を聞きつけた『神と共に』。正直流そうと思っていたのですが、まあそこまで言われると観に行かないわけにはいかないなと。やっぱこう、『バーフバリ』には色々と普通に不審に思う点もあるけど心をガッチリと掴まれたので……。
※ネタバレ注意!
仏教的世界観に基づいた世界であるということを冒頭で示すセンスといい、一つ一つのカットのセンスといい、全体的に天才なんですよね。誰が言ったか忘れましたが、基本に忠実であることこそが最強なんですよ。
まずビジュアルがかっこよすぎる。僕は『キングダムハーツⅡ』に育てられたと言っても過言ではないので、単純にかっこいい男が真っ黒なロングコートをはためかせて戦う作品に弱いんですが、今作はそれをちゃんと魅せてくれるんで大好きです。
それに加えてアクションの魅せ方がもう最高。『ドラゴンボール』に育てられたと言っても過言ではないので、ああいう瞬間移動系高速アクションが本当に大好きです。あと剣の出し方も理想的ですね。キーブレード的な良さがあります。厨二病を徹底してやってくれるの最高〜!
あとシナリオもしっかりしてて良かったです。
ビジュアルの出来がいい映画は、そのビジュアルだけで終わることも多々あるんですが(ブレードランナーとか)(それはお前がしっかり観てないからだろ!)、この映画はそこら辺ビジュアルとストーリーのメタファーの噛み合わせ方が非常に巧い。『魔女』を観た時も思いましたが、韓国の作品だからといって侮っては、世界の速度についていけませんね。いや、そもそも作品の出来は国によって左右されるものでもありませんが。
使者達という魅力的なキャラを配置しながら、その実ストーリーラインの中心にはキム一家を配し、使者達はそのストーリーを掘り下げていく役割という、見方によっては非常に豪華な布陣でストーリーが展開していきます。つい上でも述べましたが、この使者達が非常に良い。皆さんは誰が好きですか?僕はヘウォンメクさんです。彼が色々と言っていた割に、ラストの現夢で号泣していたりとか良いですよね……(無断の共感)。
あとこれは魅せ方の話になりますが、キャラクター達の細かい所作がしっかりとなっているのが、地味に凄いところです。これ出来てない作品も多いですからね。まあ実写ゆえの強さ、というところでしょうか。一つ一つの所作にそのキャラの、こう、なんというべきか、人生?というものを感じることができる魅せ方なんですよ。別に他の作品もちゃんとしてますけど、この作品はそういう面が特に良かったなと。
で、本題に戻ると母と子、罪と赦しというテーマを─ハンディを負った、という家庭で─とても上手に描いていたと思います。浄瑠璃の鏡システムのおかげで凄まじくスムーズに展開が進むのはなんというか目から鱗でしたね。僕の語彙ではこれに関してあまりよく語れないので、劇場で感動してください。結構周囲の人は泣いていました。僕もですが。
まあやや不満もないことはなく、とりあえず戦闘シーンが少ないという不満ですね。まあ多ければ良いというものでもないのですが。ただこの作品の場合は完全に緩急のためだけにある面がはっきりと分かったりしたので、そこだけが……。いや、描きたいことに対してそう多くても意味がないんですけどね。難しいところではあります。実際多ければ良かったのか?と聞かれるとどうかと思いますからね。この作品の場合は親子のシーンに割いて然るべきだと思います。
あと、まあ、第2章があるからできる技、ではあるんですが、やや消化不良気味に残った要素があるのが気になりますね。想像の余地、ですまない、という意味です。地獄が二つほどショートカットされたり、弟の死のアレコレとか。ちゃんと回収するようだから良いものの。
まあいちゃもんに近い文句は放っておいて、とにかくこの作品、非常に良かったです。数自体は少ないですが、戦闘のクオリティは屈指のものかと。第2章もそう遠くないので、皆さん観てくださいね。
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