『THE GUILTY/ギルティ』感想─一つの部屋で展開される一人芝居、緊迫感は特級の傑作。
🎬速報🎬
— 映画『THE GUILTY/ギルティ』2.22公開 (@GuiltyMovie) December 18, 2018
第91回アカデミー賞外国語映画部門 ノミネーション対象作品に『THE GUILTY/ギルティ』が選出されました!!
ジェイク・ギレンホールのリメイクに引き続き、こちらも嬉しいニュースが続きます😆💕#音だけの見えない事件 #ギルティ pic.twitter.com/xhwCXSldXA
『THE GUILTY/ギルティ』、かの『セッション』『search/サーチ』と同じ(実は『search/サーチ』を観てないのですが……)賞をとったということで、まあ観に行かないわけには行かないだろうと一週遅れで観に行きました。※ネタバレ注意!
まず言及すべきことは、本作は主人公の同僚約十人ほどを除いて、一切姿が映らず、声のみの出演しかない映画です。そのため、基本的には一人芝居という形になり、観客はひたすら画面……というか電話の向こう側を想像するしかないのです。
これはなかなかに尖ったというか、先鋭的というか、挑戦的なスタイルだと思います。役者さんの演技力が不足していれば、途端に画面はつまらないものになり、観客は退屈の極みに追い込まれるからです。
しかし、本作は主人公アスガー・ホルム役ヤコブ・セーダーグレン氏の卓越した演技力により、おおよそ製作陣が想定したであろう、緊迫感や危機感といったものがひしひしと伝わってくる映画になっています。やはり、この映画の感想を述べる上では、彼の存在は無視できないものなので……。セーダーグレン氏、どうも本格的にすごい役者さんらしいので興味持った人は調べてみるといいと思います。
本作は緊急通報司令室のオペレーターに追いやられたアスガーに焦点を当てた映画です。ストーリーを進める上では、彼が相対する、「女性誘拐事件」と、彼が「電話番」になるきっかけとなった「彼の起こした事件」の二つがメインの軸になっています。どちらとも、はっきりとした情報一切語られず、観客が推理していくしかない(それこそ、劇中のアスガーのように)演出です。
事件や設定がシンプルで、さらに舞台となるのはたった一つの部屋、という訳で、役者さんの演技力、そして演出力が不足していれば、先述したようにあっという間に退屈極まりない地獄のような映画になりますが、本作は非常に非凡であるといえます。
まず最初にアスガーの「普段の勤務」を描くことで、彼の人間性や、弛緩しきった勤務態度や仕事内容を印象付けてきます。ここが非常に丁寧なポイントですね。導入をきっちりやってくれてるので。まあ〜ここのナメくさった勤務態度がなんとも言えないウザさを発揮していて素晴らしいです。
そして誘拐事件が始まってからの空気の変わりようもまた凄まじい。ただ単に椅子に座って電話の応対をしているだけにも関わらず、あそこまで緊張感を演出することができるのは凄いことですよ。
そこからの流れに関してはもはや僕の語彙では無理ですね。実際に観てください。しかし、一つだけ述べるとすれば、あの映画の語り口です。
極限まで登場人物を排したこの映画は、必然的にアスガー・ホルムという人間を撮り続けます。すなわち、観客が望む望まずに関わらず、観客は「彼」を観察し続ける構成になっているのです。
「電話番」に対して舐めた思いでいたアスガーが、一つの事件を通してその思いを改める。周囲を騙し現場に復帰しようとしていた彼がその嘘をやめようという。全てを間違えて認識していた彼が、自分の間違いに気づきイーベンを止めようとする。
この映画は、文字通りの『Den skyldige』、あるいは『THE GUILTY』を描く映画なのです。
全てを受け入れたアスガーが最後に電話したのは、一体誰なのか。それがわかれば、おそらくこの映画のことが全て分かったと言えるのでしょうか。
普段頭を使わないタイプの映画ばかり観てるので、ここいうある種畑違いの映画を観るのもいい経験になります。すごく疲れましたが……。
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