アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』感想─まさに『仮面ライダービルド』の集大成!良いも悪いも詰め込んだお祭り傑作。

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令和になって久しいですが、皆さんは令和デビューしてますか?僕はつい最近、平成の置き土産、『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』を観たことでようやく令和に入ることができました。まあ、4月あたりの『ゲイツ、マジェスティ』を観ないと本当の意味で令和には行けないのですが……。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは他の人の表現なんですが、仮に『仮面ライダークローズ』を「余計な蛇足」とすれば、この『仮面ライダーグリス』は「楽しい蛇足」と言える作品でしょう。

『クローズ』は本当に……という感じでしたが(ストーリー以外は完璧だったと思っている)、『グリス』はストーリー演出映像アクション含めて非常に『ビルド』らしい作品だったなぁ……としみじみ思える作品ですね。

 

仮面ライダービルド』という作品のガバとエモの部分を猛烈に詰め込んだのが今回の『グリス』だったと僕は思っています。全体的に雑な戦争描写、崩壊しまくるキャラ、ご都合主義を煮詰めたような展開……人によってはマイナス方向に評価がぶっちぎれるでしょう。一番僕がツッコミたかったのは浦賀がせっかく美空を攫ったのにそれを放置して一海のところに来た時ですね。なんだったんだよその人質は。

が、加点方式であれば『ビルド』がみるみるうちに大名作と変化するのは皆さんご存知の通りでしょう。今回も、キャラが崩壊しているとはいえ随所随所できちんと関係性に関してはしっかりしてましたし(万丈の彼女が影も形もなかったのは笑った)、カズミンと三羽ガラスの関係性を徹底して描いていたのは本当に良かったです。

とはいえ、僕はカズミンのことは好きなんですが、それはあくまでも表面をさらう程度のことで、そこまで専門で掘ってるわけではないのです深い話ができないのが実情。なので早々にこの話は打ち切ります。

 

まあ前作だと記憶喪失だったりエボルトという強烈すぎるキャラに尺が割かれていた都合、他のキャラの出番が薄かったわけですが、今作ではみんなに割と見せ場があったのは良かったですね。カズミンの「最後の祭り」というセリフの通り、ビルドライダーも総登場してくれましたし。特撮面でも、かなり意欲的な映像が多かったように思います。雑合成ですが東京中に(あれ東京?)ミサイル爆撃するファントムクラッシャーや、そもそもの変身エフェクトなどなど、Vシネなりの予算は感じさせましたが、とにかく派手にやろうという意気込みが見えてくる映像でした。

あと、こう、とにかく二次創作的な展開が目立ったのは好きですね。「グリスブリザード出したい!みんな変身させたい!適度に命の危機にもしたい!でもハッピーエンドにしたい!」という制作側の欲望全てを詰め込んだような展開が魅力です。

結果的に「ファントムリキッド」なるとんでも物質が出てくるし、しばらくの間カズミンたちが変身できる理屈付けに同時上映を使うし、様々なピンチが発生するけどなんかなあなあで流れるし、死んだと思った三羽ガラスは生きてたし、グリスブリザードは変身しても死ななくなったし、そういうところがいいところで悪いところなんですよね。僕は大好きです。

 

敵も魅力があるんだかないんだかよくわからないいい奴でしたね。『ビルド』では珍しい完全に人間な敵ですかね、浦賀。彼はいい感じに馬鹿で良いと思います。いや、あれはアホじゃないですか?というか、『Over Quartzer』のバールクスと合わせて、平成ライダー以降に生まれた「スペック至上主義」的な敵を(測ったのかは不明ですが)出してくるのはなんか笑えましたね。とはいえ、その展開自体は非常に熱いわけですが。特にバールクスはこちらが勝手に受け取っただけですが、浦賀は明確に言ったので好きですね。

まあ浦賀が『ビルド』における仮面ライダー論の結論づけのための舞台装置であったことは確かですけどね。想いこそが強さなんだよ!!!!!とあれだけ高らかに叫ばれては、こちらもそれを受け取るしかない。

あと個人的に驚いたのが、Vシネマとはいえ仮面ライダーというコンテンツで昨今見ない「人間の明確な銃殺描写」があったことですね。平成ライダー……というか仮面ライダーは何だかんだ優しいコンテンツなので、そういう部分はあまり無いんですが(『ゼロワン』1話で似たようなことやって話題になりましたね)、Vシネマだから好き勝手やるで!みたいなのがあったんでしょうかね。わかりませんが。

 

アクションも非常に良かったですね。グリスの中の人、藤田さんは割とアクロバティックなアクションが特徴の方な印象なんですが、グリスでも惜しみなくアクションが披露されていましたね。渡辺アクション監督の新鮮味感じるアクションと相まって、『ビルド NEW WORLD』二部作はアクションが割と良かったと思います。

あとメタルビルド。これは、かなり、予算の厳しさが感じられる敵だったんですが、とはいえ僕はハザードフォームが好きなので劇場の大画面でハザードフォームの活躍が見れるなら普通に嬉しかったですね。かっこよかったし。ただ、ファントムビルドに関しては正直吹き出しそうになりましたね。部下と合体して最強なんかい!みたいな。でもクソ強くなってましたね。

メタルビルドがタンク×2なのは好きですね。戦争のことしか考えてない感があって。あと本編でほぼやらなかった「ボトルの力を使った攻撃」、要するにエフェクト付き攻撃も割とやってくれたのは好印象です。『ビルド』、そういうところは本当にダメだと思う。

 

まあ色々と複雑だった前作『クローズ』に比べて、今作は非常に楽しい『ビルド』だったんではないでしょうか。あとは『ジオウ NEXT TIME』がどうなるか……ですね。