『ドラゴンボール超 ブロリー』感想─ブロリーというキャラを描く名作
僕は『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』が好きです。
まあ多少原作とのキャラの齟齬はあるが、それでもあの魅力的なブロリーというキャラだけでもあの映画は評価する価値があります。
そんなブロリーのリブート作品が、『ドラゴンボール超ブロリー』です。
僕はいつものように情報を遮断していたため、正直この映画の期待値は低かった……が!それが逆に功を奏したといえるでしょう。
※ネタバレ注意!
今作はいきなり、惑星ベジータをフリーザ軍(コルド軍)が支配している時代から始まります。
この時点で、何か違うぞ?と思わされた。あらすじとかではなく、いきなりこれなのだ。これまでのドラゴンボール映画とは違うものを感じざるを得ません。
そして描かれるのは、ブロリーの出生と、悟空の父、バーダック。ブロリーに関しては、今作は原典からかなり大幅に変わっていて、ベジータをも超えるエリートとして大切に育てられていたことが描写されています。またバーダックはこれまでと違い、家族思いの面が強調されています。これに関してはいい改変だと思いますが、どうなんでしょうか。
で、その後はブロリーは原典通り、ブロリーを恐れたベジータ王によって追放、バーダックは悟空を地球に送り、惑星ベジータを滅ぼそうとするフリーザと戦い、死んでいきます。
その後は辺境の惑星に送られたブロリーと、それを追うパラガスと一般サイヤ人が描かれます。このパートも結構重要です。
そして過去編が終わると、現在に視点が移動します。
ここから先は、悟空たちとフリーザ軍とで視点が移動します。ここのギャグパートは必見。
そしてフリーザ軍のチライとレモに主な視点が移ります。この二人を通して、今作のブロリーのキャラクターが描かれることになります。
今作のブロリーは、原典のイメージを保ちながらも、野生的で純粋な面がフォーカスされています。まあ、『熱戦・烈戦・超激戦』のブロリーは知的かつ邪悪なやつでしたからね……。
そこでブロリーは本当は悪人ではなく、パラガスのせいで無理矢理戦わされているということが示されます。これはのちに悟空も言っていることなので、正しいことなんですね、きっと。
そして地球の氷の大陸でブロリーとベジータ、悟空との戦いが始まります。このバトルパートの作画がとにかく凄い。高速の戦闘にも関わらず、しっかりと何をしているのかがわかるように描写されていて、かつ作画の崩れも特にない凄まじい作画で、さすが天下のドラゴンボール、と言った具合です。あと何気にベジータの超サイヤ人ゴッドが初披露されます。
この超サイヤ人ゴッド、なんか特殊なエフェクトかかってましたよね。なんというか、90年代っぽい感じのエフェクトが。それと戦闘スタイルも、神というだけあって力押しだけではない不思議な戦い方をしていた印象です。
その後ブロリーはパラガスをフリーザに殺され超サイヤ人に覚醒するわけですが、正直あのシーンは溜飲が下がるとともに、幾ら何でも雑では?と思わずにはいられませんでした。え……だって流石に雑……。
もちろん戦闘シーンは凄まじい演出です。氷が砕け溶岩の層まで落下していくのは『危険なふたり!超戦士はねむれない』のオマージュでしょうか。あそこの3DCG、『復活のF』からかなり進歩してましたね。2D作画と大差ないクオリティでグリグリ動くのはとても良かったです。
そして離脱した悟空とベジータに代わり、フリーザがブロリーの相手をするわけですが、まあなんか可哀想になるレベルでしたね。まさかあそこまで噛ませの役割とは……。
その裏で進行しているのは、ピッコロさん指導のもと行われるフュージョン講座です。ここはかつての劇場版では疲労しなかったガリゴジータも披露するなど、ファンサービスに満ちていたシーンです。角度は流石に笑いました。
そして成功したゴジータはブロリーの元に戻ります。この戦闘シーンもファンサービスの塊。超サイヤ人ブルーに変身したゴジータとブロリーの戦いは、作画力もさることながら、3DCGを用いた戦闘も高クオリティ。特に、ブロリーが原典での『伝説の超サイヤ人』相当の形態になってからの、ヒットの使う時飛ばしの空間のような場所で戦いだした時は変な笑いが出ました。凄すぎて。ここでは、『熱戦・烈戦・超激戦』のカットをセルフリメイクしてくれていたのが高評価な点です。
そして『ソウルパニッシャー』を彷彿とさせる技も使い、トドメのかめはめ波というところでブロリーは元いた星に返されてしまいます。これは良かったかな、とは思っています。実質パラガスとフリーザのせいで暴走させられていたので、何も悪いことしてないんですよね。いや、してるといえばしてますが。だから殺しちゃうのはすこし気の毒だなとは思っていたので、この着地点はそこまで嫌いじゃないです。
そしてラスト、悟空がブロリーの元を訪れ、ブルマからの差し入れと、再戦の申し込みをします。そして立ち去るときに、自分の名前を名乗っていきます。
ここが最高にかっこいいんですよね。孫悟空だけでなく、カカロットというサイヤ人としての名前も名乗るのが。数少ないというか、最早唯一の同胞の生き残りであるブロリーを好敵手と認め、普段名乗っていないカカロットを自分から名乗るっていうのがもう最高です。
全体通して、非常に満足度が高かったと言える映画です。ただまあ、不満というか、ちょっと首をかしげるような部分がなかったわけではないですが。特にBGMは。あとちょっと残念だったのが、悟空との面識も特にない上にまともに喋れないので、カカロットォ……を始めとする名ゼリフを言えなかったのが残念です。まあブロリーです……は言ってくれたのでいいですが。
割と今年見た映画の中で、アクションとアニメだとトップクラスに満足できた映画です。
劇場版『ドラゴンボール超 ブロリー』オリジナル・サウンドトラック
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