アクト-レヴュードライブ

備忘録的なものです。

『下町ロケットゴースト』感想─宇宙から大地へ、その壮大な前哨戦

下町ロケット ゴースト

ただいま絶賛ドラマが放映されてますね、下町ロケットゴースト(今はヤタガラス編ですが)。

日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ

で、1年ほど前にやってた『陸王』。僕はあれを事前に原作を3周ほどしてからドラマを見たもんですから、改悪店ばかりが目についてまともに見れたもんじゃなかったんですよ。まああとドラマ、純粋にひどい点も多かったですが。

そういうわけで、今回のゴーストは、ドラマが放映されてから原作を読もうと決めていたわけでして。

結果としては、まあ大満足でした。

※ネタバレ注意!

 

 

 

 

 

本作ゴーストは、まず大手取引先のヤマタニからエンジンの取引削減を申し入れられるところから始まります。

僕は初代『下町ロケット』が大好きで、この初代を彷彿とさせるような出だしにすごい興奮しました。

そしてそれに追い打ちをかけるように、佃製作所の経理部長、殿村の父親が倒れてしまいます。因みに、原作だと殿村家の農家は栃木県にあります。

さらに追い打ちをかけるように帝国重工のロケット事業撤退の可能性。その背後には、次期社長候補の的場俊一の影……といった具合に、今回も最初っからクライマックスと言わんばかりの追い詰められぐらいを佃製作所は披露します。まあ池井戸作品にはよくあることなのですが。

そして殿村の実家で農耕用トラクターの問題的に気づいた佃たちは、これをチャンスだと思い、トランスミッション事業に参入しようと決意しました。そこで巡り合ったのが、ギアゴーストです。

アゴーストは、帝国重工の元社員が設立した新進気鋭の会社です。

今回の話は、このギアゴーストがメインで回っていくことになります。

そしてまたしても初代を彷彿とさせる、特許訴訟問題。弁護士は初代以来の再登場となる中川弁護士です。

こんな具合で、とにかくピンチの連続、どうする!?といういつもの流れです。

原作、まだ一周しかできてないんですが、今回もすごく面白かったですね。相変わらず池井戸先生は、次の文章を読ませたい、と思わせる技術がすごい……。

今回は特に強調されているんですけど、下町ロケットというか池井戸作品全体に、一体何のために仕事をするのか、というテーマがあります。

それは『2』でわかりやすく描かれましたが、今回は更に身近になった分、よりわかりやすいテーマとなっていますね。で、だからこそ自分たちの利益のためにしか仕事をしないケーマシナリーや中川弁護士によりヘイトが溜まるわけです。

あと基本的に佃製作者、技術力がカンストしてるようなものなので、苦労することはあるにしても原作だとかなりあっさり目の描写なんですよね。ここら辺はメディアの違いによるものかと思いますけど。

肝心のものづくりパートはほぼ前半で終わって、後はひたすら訴訟に向けての準備となる話なわけですが、ギアゴーストの顧問弁護士の末永弁護士、クズすぎてびっくりしましたね。特許の情報の横流しを言われた時に、3億あればクルマもゴルフの会員権も買える、が先にきたの本当にクズすぎて……お前は一体何のために弁護士なんだ、と思わず大きな声で突っ込んでしまってました。

あとこのパート、実質オチへの前振りなので、様々な布石が打たれてるんですよね。特に伊丹の心情が重点的に描かれています。

伊丹に関して言えば、ちょいちょい後ろ暗いことがあるというのは示唆されていたので、あの結末でも納得です。むしろ島津さんが聖人すぎる。

あとドラマ版と比較しての話になるんですが、原作の方が全体的に無駄が少なすぎるですね。ドラマ版だと、例えばリバースエンジニアリングの作業が具体的に描写されましたけど、原作だと3行ぐらいで終わりました。まあドラマ版の行間の埋め方は全体的に上手ですね。あの内容そのままだと二週ぐらいで終わりますから。

かの名作、『下町ロケット』の続編としては満点の名作、ヤタガラスも楽しみに見ています。

 

下町ロケット ゴースト

下町ロケット ゴースト